グループII代謝型グルタミン酸受容体をターゲットとした新規統合失調症治療薬の創製
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概要
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統合失調症は,陽性症状,陰性症状,および認知機能障害を主要症状とする精神疾患である.今日まで「ドパミン仮説」に基づく治療薬が創製されてきたが,いずれも陽性症状には奏効するものの,陰性症状や認知機能障害に対する治療効果は十分ではない.近年,陰性症状や認知機能障害の原因として前頭皮質におけるグルタミン酸神経系異常への注目が集まり,新薬開発は「グルタミン酸仮説」に基づく新たなターゲットへとシフトしている.統合失調症の「グルタミン酸仮説」は,皮質神経回路の興奮/抑制バランス異常による情報伝達障害を病態の原因とする仮説である.我々は早くから本仮説に着目し,過剰興奮した錐体ニューロン活性を抑制するアプローチとしてグループII代謝型グルタミン酸受容体(mGlu2/3受容体)アゴニストの創薬に取り組んできた.mGlu2/3受容体アゴニストは,非臨床試験における抗精神病様作用が報告されているほか,近年,Eli Lilly社が開発中のLY2140023の第II相臨床試験における有効性が検証され,より一層の注目を集めている.本稿では,統合失調症の「グルタミン酸仮説」に基づくmGlu2/3受容体アゴニストの作用機序を中心に概説し,その新規統合失調症治療薬としての可能性について考察する.
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