結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫の1例
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概要
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症例は5歳の男児で左大腿部前面に鶏卵大の腫瘤を触知し, 超音波検査, MRI検査にて, 悪性疾患が示唆され, 精査・加療目的にて腫瘤摘出術を施行した.摘出標本の病理検査および免疫組織学的評価にて, 結節性リンパ球優位性ホジキンリンパ腫(Nodular lymphocyte predominant Hodgkin lymphoma : NLPHL)と診断された症例を経験したので報告する.摘出標本はリンパ節で, 主として小型のリンパ球のvague nodular pattern〜diffuse patternを示す増生が見られ, 小結節の内外に大型のvesicularで時に分葉を示すpopcorn cell様の細胞が認められた.免疫組織化学的染色ではCD20(+)細胞が認められ, リンパ節全体に反応性の小型Tリンパ球の著しい増生が認められた.大型細胞のphenotypeはCD45(+), CD20(+), CD3(-), CD30(-), CD15(-), EMA(-)であったので, 鑑別診断としてT-cell rich large B-cell lymphoma (TCRLBCL)とNLPHLとが考えられたが, WHO分類を参考にして, B-cell noduleがあるのでNLPHLのT-cell rich nodular patternを示す亜型とした.NLPHLの治療は, 小児症例の場合, 腫瘍摘出後, 骨への晩期障害を考慮し放射線療法は行わず, A-COPP/ABVDの交替療法による化学療法を行うべきである.さらに定期的な画像診断により, 再発や転移の有無を早期発見することが重要と考える.
- 日本小児外科学会の論文
- 2005-10-20
著者
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上村 良
大津赤十字病院外科部
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岩崎 稔
大津赤十字病院外科
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花房 徹兒
大津赤十字病院小児外科
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花房 徹兒
守山市民病院外科
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山本 栄司
京都市立病院外科
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山本 栄司
京都市立病院 放射線科
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岩崎 稔
大津赤十字病院 小児外科
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岩崎 稔
京都市立病院外科
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上村 良
大津赤十字病院外科
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