間欠式バルーンカテーテルの長期安全性の検討
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概要
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(目的)間欠式バルンカテーテル^<TM>(以下間欠バルン)を, 一日のある程度長時間(多くは夜間)留置し, 間歇導尿と併用する排尿管理が行われるようになってきた.今回, 間欠バルン夜間留置の長期安全性を検討するため, 排尿管理法別に長期にわたる安全性と合併症の頻度を検討した.(対象と方法)平成11年4月から平成16年3月までの期間, 岡山労災病院泌尿器科で何らかのカテーテルを用いた排尿管理を継続している114名(男性91名, 女性23名)である.間歇自己導尿(CIC-dry: 33名), 間歇自己導尿+尿失禁を含む自排尿(CIC-wet: 16名), 間歇自己導尿+夜間のみ間欠式バルーンカテーテル^<TM>留置(CIC+夜バルン: 20名), 膀胱瘻(22名), 尿道カテーテル留置(尿道カテ: 24名)に分けて, 有熱性尿路感染症, 膀胱結石などの合併症を経過観察期間(平均41カ月)における頻度で, 検尿沈渣における膿尿の回数を検尿回数で除して膿尿出現頻度を求めそれぞれ比較した.(結果)有熱性尿路感染症の頻度は, CIC-wet(3.36回/100カ月), 尿道カテ(2.96回), 膀胱瘻(1.26回), CIC+夜バルン(0.57回), CIC-dry(0.42回)の順であり, CIC-dryに比較してCIC-wetと尿道カテが有意に発熱の頻度が高かった.膀胱結石の頻度は, 尿道カテ(1.11回/100カ月), 膀胱瘻(1.05回), CIC+夜バルン(0.96回), CIC-wet(0.61回), CIC-dry(0.21回)の順で, CIC-dryに比して尿道カテは有意に膀胱結石が発症する傾向を認めた.膿尿の頻度では, 尿道カテ(86.7%), 膀胱瘻(74.2%), CIC-wet (65.6%), CIC+夜バルン(53.0%), CIC-dry (35.0%)の順であり, CIC-dryはいずれの群に対しても有意に膿尿の出現頻度が低かった.CIC-wetとCIC+夜バルンの直接比較では, いずれの合併症でも有意差は得られなかったものの, 有熱性尿路感染症でCIC-wetがCIC-dryよりも有意に発熱頻度が高くCIC+夜バルンはCIC-dryと有意差が得られなかったことから, 夜間に導尿できず, 尿失禁を生じると合併症の危険性が上昇する可能性が示唆された.(結論)CIC施行症例は尿失禁および自排尿を避けるように排尿管理をすることが有熱性尿路感染症の予防につながる.昼間CICを施行し夜間のみに間欠バルンを留置する方法は合併症の頻度を増加させず, 長期の経過観察でも安全な排尿管理法であると思われた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 2005-07-20
著者
-
近藤 厚生
津島リハビリテーション病院
-
大森 弘之
岡山労災病院泌尿器科
-
大森 弘之
岡山労災病院
-
高坂 哲
東京都リハビリテーション病院泌尿器科
-
小澤 秀夫
岡山労災病院泌尿器科
-
岩坪 暎二
総合脊損センター
-
小澤 秀夫
川崎医科大学附属川崎病院泌尿器科
-
上松 克利
岡山労災病院泌尿器科
-
高坂 哲
東京慈恵会医科大学泌尿器科
-
上松 克利
岡山労災病院 放射線科
-
近藤 厚生
小牧市民病院 泌尿器科:津島リハビリテーション病院
-
近藤 厚生
小牧市民病院
-
岩坪 暎二
総合せき損センター 泌尿器科
-
大森 弘之
岡山大
-
小澤 秀夫
岡山労災病院 泌尿器科
-
高坂 哲
東京都リハビリテーション病院
-
小澤 秀夫
川崎医科大学付属川崎病院泌尿器科
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