神経管閉鎖障害に対する葉酸の役割 : 泌尿器科医と患者群の認識度調査

概要

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(目的)厚生労働省は妊娠時に葉酸を内服すると,神経管閉鎖障害児の発生リスクを低減できると西暦2000年に公表した.この重要な情報が泌尿器科医と患者群にどれほど浸透しているか,泌尿器科医は若い女性に生活習慣をどのように指導しているか,そして患者群がどのような生活習慣を持っているか調査した.(対象者と方法)無作為に抽出した泌尿器科医400名と患者群(250名の二分脊椎の女性患者と過去7年間に神経管閉鎖障害児を分娩した250名の母親)にアンケート表を郵送した.泌尿器科医の84%は40歳以上で構成され,患者群の76%は20歳代と30歳代が占めた.回答率は前者が56%,後者が52%であった.(結果)泌尿器科医の26%と患者群の92%が,葉酸の果たす重要な役割を承知していた.泌尿器科医の10%が総合ビタミンや葉酸サプリメントを推奨し,患者群の25%がそれらを摂取していた.泌尿器科医の68%は栄養バランスの取れた食事を勧めており,患者群の82%はそのようにしていると回答した.医師と患者群の80%以上は,葉酸内服で神経管閉鎖障害の発生リスクを減少できる旨,妊娠可能期の若い女性に知らせるべきだと考えていた.(結論)泌尿器科医が葉酸摂取の重要性を認識している割合は,患者群に比べて有意に低率である(p<0.0001).本疾患に関わる医師は葉酸摂取で神経管閉鎖障害のリスクが低減する事実を理解し,妊娠可能な若い女性には栄養バランスの取れた食事を摂取し,妊娠を希望する女性には葉酸サプリメント400μg/日を妊娠4週前から妊娠12週まで内服するよう推奨することが求められる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
2004-05-20

神経管閉鎖障害に対する葉酸の役割 : 泌尿器科医と患者群の認識度調査

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