イネ低アミロース系統の登熟気温による胚乳アミロース含有率変動の系統間差異
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概要
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複数の低アミロース性母本に由来する系統を供試し, イネの食味に大きく影響する胚乳アミロース含有率の登熟気温による変動を調査した.日本の寒冷地域で作付けされている, 「ミルキークイーン」(wx-mq保有), 「彩」(du(t)保有), および「スノーパール」の低アミロース性母本に由来する育成系統と, 「山形84号」(wx-y保有), 「探系2031」, 対照としてうるち品種の「つがるロマン」(Wx-b保有)を供試した.人工気象室, ガラス温室および自然条件を組み合わせ, 低, 中, 高温の3つの温度条件で登熟させた時の胚乳アミロース含有率を測定した.「つがるロマン」のアミロース含有率の変動幅は12∿23%(高温区∿低温区)であり, 登熟気温変動1℃当たりのアミロース含有率の変動幅(ΔAM/℃)は0.8∿1.1%であった.これに対し「ミルキークイーン」由来の系統, ならびに「山形84号」のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より小さかった.一方, 「スノーパール」の母本で「ミルキークイーン」や「山形84号」とは異なるWx座の突然変異による「74wx2N-1」に由来する系統のアミロース含有率の変動は「つがるロマン」より大きく, ΔAM/℃は「つがるロマン」の1.4∿1.9倍であった.「探系2031」のアミロース含有率は, 「つがるロマン」と他の低アミロース系統の中間であり, ΔAM/℃は「つがるロマン」とほぼ等しかった.「ミルキークイーン」由来の系統あるいは「山形84号」と, 「74wx2N-1」に由来する系統間に見られるアミロース含有率の温度による変動幅の差は, その保有する低アミロース性遺伝子の違いによる可能性が示唆された.
- 日本育種学会の論文
- 2005-03-01
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