チアゾリウム塩を用いたホルモース反応の反応機構についての理論的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チアゾリウム塩を用いたホルモース反応の反応機構中の中間体の安定性を議論するために、MOPAC-PM3プログラムを用いて理論的な検証を行った。一般に知られている反応機構(Scheme 2)中の中間体のうち、C1位に負の電荷を持つ中間体(II, III)はエナミン形を取ることによって安定に存在できることが確かめられた(Scheme 3)。一方、酸素原子上に負の電荷を持つ中間体(II*, III*, IV*, IV)は、そのままでは非常に不安定であることが認められた。この不安定性を解消する因子として、反応メディア中のアンモニウムイオンの存在に注目した。アンモニウムイオン存在下では、負の電荷を持つそれぞれの反応中間体はアンモニウムイオンとイオン対を形成して安定に存在できることが計算より確かめられた。そこで、このようなイオン対形成を考慮した反応機構(Scheme 4)を提案し、特にプロトン転位過程におけるStep CとStep Dについてその遷移状態計算を行った。どちらの場合もただ一つの遷移状態を見つけることができた(Figure 6)。この計算により、提案する反応機構の初期段階の見かけ上の活性化エネルギーは10.9 kcal/molに見積もられた。この値は実験的に求められた活性化エネルギー(19 kcal/mol)とは若干の開きがあるが、これはチアゾリウムのN位置換基や塩基のpKbの違いによるものと考えられる。今のところ提案した反応機構は、よりもっともらしいスムーズなものであり、今後さらなる研究により明らかになるだろう。
- 日本コンピュータ化学会の論文
- 2003-12-15
著者
-
伊藤 眞人
創価大学工学部
-
多島 秀男
産業技術総合研究所
-
井上 博愛
創価大学工学部生物工学科
-
井上 博愛
創価大学工学部環境共生工学科
-
伊藤 眞人
創価大学工学部:国際化学オリンピック日本大会実行委員会
関連論文
- 「物理量は数値と単位との積」について
- 初出場の日本は銅メダル2個 : 第35回国際化学オリンピック速報
- 化学ソフトウェア学会論文誌の電子出版 - インターネットによるオンライン公開と印刷体雑誌出版の統合 -
- 化学ソフトウェア学会論文誌の電子出版
- 学生企画座談会「学力低下問題を考える」
- 化学会社研究所における安全管理(インタビュー)
- IChO速報4運営委員会に世界各地から参集 : 日本の準備は上々
- Misconception
- 全国高校化学グランプリから国際化学オリンピックヘ
- 分子シミュレーションに関する情報