電子取引の信頼性を醸成するために:信頼できる第三者機関モデルの提案

概要

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本稿では、「信頼できる第三者機関」に焦点を当てて、電子取引における信頼性を確立するための制度的基盤について考察する。情報化社会においては、民間のダイナミズムを促進してイノベーションを活性化させるために、法制度を事前的規制から透明性の高いルールに基づく事後的規制を中心としたシステムへと転換し、政府の役割を自主規制や民事規制が有効に機能するような環境整備と消費者の自律支援にシフトすることが求められている。では、どのようにして各主体の役割を見直すべきであろうか。私は、市場原理の機能範囲が拡張し、政府の果たしうる機能範囲が縮小する中で生まれている制度的な空白を埋めるために、信頼できる第三者機関を今後の制度設計と制度運営を担う主体として明確に位置づけることが必要であると考えている。信頼できる第三者機関とは、市場領域と非市場領域の中間領域にあるサービスを担うことによって相対する価値を調整し、政府あるいは市場とは異なる資源配分を行なう主体の総称である。本稿では、個人情報保護と裁判外紛争処理に関する制度問題の考察を通じて、信頼できる第三者機関のもつ潜在的可能性を検証することができた。産・官・学・民が互いに協力してTTP を組織しながら、それぞれの権能を適切に分散して競争を行うことによって、電子取引の信頼性が醸成され、電子商取引市場が拡大することを期待したい。
国立情報学研究所の論文
2003-03-31

電子取引の信頼性を醸成するために:信頼できる第三者機関モデルの提案

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