山岳における大気化学観測,その動向と課題--小レビュー
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概要
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大気エアロゾルおよび関連する前駆気体, 微量気体の鉛直構造や, それらの自由対流圏での挙動を知る目的で高所山岳を利用した観測研究に興味がもたれる. 我が国における研究の進展に資するため, 最近の世界の高所山岳における大気化学観測研究の動向についてごく簡単な概観を試みた. 観測ロジスティクスや維持の困難性にもかかわらず, 山岳を利用した研究の数は増えているように思われる. 多くの研究では, 気候変動に関わる大気化学の変動に興味の焦点がおかれ, 長期変動データを取得する上で, どのようにバックグラウンドデータを取得するかという観点から, 山岳に特有な気象現象による変動が扱われている. そこで, 山谷風という局地気象による大気質の変動や,「山岳ポンプ」による境界層汚染空気の自由対流圏への輸送について取り扱った研究を主に紹介した. 後者は, 人為汚染気塊を風下域へ拡散させる(長距離輸送)実質的な役割を担っている可能性もある.Atmospheric chemistry and aerosol observations at mountainous platforms are interested as a way to obtain vertical profiles or free tropospheric information of the concerned aerosols and chemical trace species. In order to facilitate such researches in Japan, recent research trends in atmospheric chemistry at high altitude sites over the world are reviewed. In spite of the difficulties in logistics and maintenance, the utilization of mountain platforms in the atmospheric research seems growing. Concerns are mostly placed on the global atmospheric change in relation to the climate study thus the temporal changes of atmospheric species along with those of meteorological dynamics are reported in many studies. Effects by the local wind circulation, which is characteristic meteorology to the mountain range, on the time series of atmospheric chemistry are described. Also, the venting of polluted boundary layer air into the free troposphere by the thermally induced air flow is discussed. Such venting occurring at mountains beside the industrial region may play a substantial role in a large-scale pollution outflow into the far down-wind regions.大気圏と生物圏の相互利用. 北海道大学低温科学研究所編
- 北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido Universityの論文
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