2006年春季につくばで観測したダスト事象の解析 : 黄砂と近傍からの風塵

概要

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つくば市の気象研究所において,ダスト事象に着目して,2006年の春季に重量濃度,粒径別個数濃度など,エアロゾルの物理的,化学的観測を行った.この期間中に重量濃度(1時間値)が数百μg/m^3に達する二つの顕著なダスト事象が捉えられた.日本各地の目視観測やダスト輸送モデルなどのデータから,二つのダスト事象は,それぞれアジア大陸からの黄砂と近傍からの風塵(以下,風塵と表記)が主体の事象であると判断された.光学式エアロゾル計数装置を用いた解析から,粒径分布(0.3,0.5,1.0,2.0,5.0μm以上の5段階分級)の時間変動に違いがあり,ダスト濃度が増大するにつれ,黄砂では全粒子径で個数濃度が増加したのに対して,風塵では中・大粒径(>1.0μm)粒子で個数濃度増加が顕著だった.また,両事例ともに夜間の静穏時に比べて,小粒径(<1.0μm)粒子の個数濃度が低い傾向が見られた.水溶性イオン成分重量のダスト重量に対する割合に着目すると,nss-SO_4^<2->は黄砂で4%,風塵では2%を占めた.nss-Ca^<2+>は黄砂で1%だったのに対し,風塵では0.6%を占めた.このほか,NO_3^-濃度についても,黄砂(1.6μg/m^3)と風塵(0.08μg/m^3)では大きな違いが見られた.
社団法人日本気象学会の論文
2009-07-31