東北地方のヒメツユムシ亜科(直翅目, キリギリス科)
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概要
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東北地方のヒメツユムシ類については, ムツツユムシモドキ Nipponomeconema mutsuense が唯一の種として知られている(YAMASAKI, 1983).1982年に行われた日本列島の自然史科学的総合研究による, 青森県をのぞく東北地方西半の調査によって, もう2種をつけ加えることができた.このうちの1種は本州中部から知られているヒメヤブキリモドキ Tettigoniopsis forcipicercus で, この種は東北地方に広く分布しているらしいことが, この調査で判明した。もう1種は明らかに新属・新種であるが, 雌の標本を欠くために, 新属創設にあたり, 両性の標本のそろっている関東や伊豆地方産の同属の新種をタイプ種として選び, これにもとづき新属 Cosmetura を記載し, ついで奥羽山脈船形山産の新種の記載を行った。 Cosmetura 属は, ヒメツユムシ亜科の短翅群に属し, 雄の肛上板が後方に伸長し, 複雑な形状をし, 褐色をしていることと, 横幅の広い生殖下板の先3分の1が背方に強く反っていることなどにおいて, きわめて特異である。一方, 雌の産卵管は背方にゆるく反った短剣状で, 先端は鋭くとがっている。この属のタイプ種 ficifolia では, 雄の肛上板背部の基方中央に頭方に向かう1本の突起をもつが, 船形山産の fenestrata では, この突起を欠き, しかもこの部分がへこみ, 明るくなって, 腹側が透けて見えることで識別される。 なお, これらの新属・新種の和名として, Cosmetura 属にコバネササキリモドキ属, C. ficifolia にはコバネササキリモドキ, C. fenestrata にはとりあえずトゲヌキコバネササキリモドキをあてておきたい。
- 国立科学博物館の論文
- 1983-12-01
著者
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