<国立科博専報>紀伊半島のカメムシ上科昆虫相

概要

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1. 紀伊半島産のカメムシ類として, 今回標本を検し得なかったものも含め, 5科87種を記録した。2.これらのカメムシ類は分布型により5群に分けられる。すなわち, 第1群 : 東洋区系の分布型を示す種群15種, 第2群 : 西部支那系の分布型を示す種群30種, 第3群 : シベリア・カラフト系の分布型を示す種群31種, 第4群 : 日本固有の種群7種, 第5群 : 広域にわたる分布型を示す種群4種である。3. 第1群はいわゆる南方系と呼ばれる種群で, その多くはイネ, 柑橘類などの栽培植物とともに分布を広げたと考えられる。第3群がいわゆる北方系の種群で, 紀伊半島の自然環境はこれらの種にとって決して好適とはいえないにもかかわらず, 意外に多くの種が分布していることが判った。4. 紀伊半島のカメムシ上科昆虫相は, 北海道および琉球列島のそれとはかなり異質であるが, 本州中部から九州にかけての地域のそれとは大きな差は認められない。とはいうものの, ハマベツチカメムシ, ミナミアオカメムシ, フタテンツノカメムシのように同半島が分布の北限となる種や, オオクチブトカメムシ, ズグロシラホシカメムシ, オオトゲシラホシカメムシ, スコットカメムシのように当地が分布の南限となる種が見出され, これらの存在が紀伊半島のカメムシ上科昆虫相の特色となっている。
国立科学博物館の論文

<国立科博専報>紀伊半島のカメムシ上科昆虫相

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