神経線維腫症1型の男性に発症し,急速に増大した悪性末梢神経鞘腫瘍の1例
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概要
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50歳,神経線維腫症1型の男性。既往歴に小脳梗塞,虫垂炎,家族歴に同症なし。1999年より右腰背部に胡桃大の皮下腫瘍が出現した。当科において神経線維腫として,経過観察を行っていたが,2009年から受診を自己中断していた。2012年6月頃より同部位が増大し,発赤,熱感を生じたために来院した。7月当科受診時20×16cm大の皮下腫瘤を認め,MRIにて左腰部から臀部にかけて径12cm大の辺縁整で内部にT1high,T2lowを示す多房性の腫瘤を認めた。急速な拡大と貧血の進行を認めたため,悪性末梢神経鞘腫瘍の腫瘍内出血と診断し,緊急に塞栓術と切除術を施行した。切除標本では紡錘形の密に増生した腫瘍細胞を認め,免疫染色では,S100少数陽性,p53陽性,EMA,デスミン陰性で,悪性末梢神経鞘腫瘍であった。後日,皮膚欠損部に植皮術を行い,欠損部は上皮化した。遠隔転移は認めず,術後補助療法は施行しなかった。術後9ヵ月,再発や転移はない。
- 日本皮膚悪性腫瘍学会の論文
著者
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中村 靖司
和歌山県立医大医学部臨床検査医学
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山本 有紀
和歌山県立医科大学 医学部皮膚科
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三木田 直哉
和歌山県立医科大学 整形外科
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稲葉 豊
和歌山県立医科大学皮膚科
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古川 福実
和歌山県立医科大学
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