輸血ドナーからの移行抗体によりHBsおよびHBc抗体が陽転化した小児例
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概要
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同種造血幹細胞移植前のスクリーニング検査にて,HBsおよびHBc抗体の陽転化を認め,献血ドナー由来の移行抗体であることが判明した小児例を経験した.移植前処置開始1週間前の検査でHBs抗原が弱陽性であり,HBV-DNA定量(リアルタイムPCR法)の結果が出るまではB型肝炎ウイルス(HBV)の感染や再活性化も否定できなかったため,抗HBV薬の内服を開始した.HBs抗原検査は再検にて陰性,HBV-DNA定量も陰性であったことからHBVの感染を否定した.血液センターへ過去5カ月間に輸血された製剤ドナーの調査を依頼したところ,HBs抗体のみ陽性のドナー由来血小板製剤(PC)が30単位,HBsおよびHBc抗体陽性のドナー由来PCが計20単位輸血されたことが判明した.造血幹細胞移植が施行され,移植4カ月後にはHBsおよびHBc抗体は陰性化した.患者保存血漿の検査でもHBV-DNAは検出されず,その後の検査でも検出されなかった.小児など低体重例では,循環血漿量が少ないため血小板製剤や新鮮凍結血漿製剤中の移行抗体の影響を受けやすく,血中抗体価が陽転化する可能性が高いため,臨床への注意喚起が必要である.
- 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会の論文
著者
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藤井 輝久
広島大学病院 エイズ医療対策室
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平岡 朝子
広島大学病院輸血部
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河野 富士子
広島大学病院診療支援部
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野間 慎尋
広島大学病院診療支援部
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河野 真由
広島大学病院診療支援部
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栗田 絵美
広島大学病院診療支援部
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齊藤 誠司
広島大学病院輸血部
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一戸 辰夫
広島大学病院血液内科
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小松 真由美
広島大学病院診療支援部
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矢内 綾佳
広島大学病院診療支援部
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山岡 愛子
広島大学病院診療支援部
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廣瀬 祥子
広島大学病院診療支援部
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大崎 千津子
広島大学病院看護部
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山﨑 尚也
広島大学病院輸血部
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平岡 朝子
広島大学病院診療支援部
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