小学校外国語活動におけるComputer-assisted language learning教材の効果:-教材での学習量とテストスコアとの相関分析からの検討-
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概要
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本稿では,小学生におけるComputer-assisted language learning(CALL)教材利用の効果について検討するため,CALL教材の学習量と英語知覚能力の関係について,特に小学3年生を対象に調査した。CALL教材の学習量の指標として,調査年度における全7回のCALL授業中に実施された,(a)実施課題の総数,(b)実施課題の種類,(c)総学習時間,(d)1時間あたりの実施課題数のデータを収集した。また,英語知覚能力の測定のために,年度末に,(1)文字認識(アルファベット大文字),(2)リズム知覚,(3)音韻知覚のテストを実施した。これらについて相関分析を行ったところ,英語知覚能力のうち(1)の文字認識については,(b)の実施した課題の種類との間に弱い相関傾向が認められ,その他のCALL教材の学習量の各指標との相関は認められなかった。一方,(2)のリズム知覚や(3)の音韻知覚については,CALL教材の学習量の指標のうち,(a)実施課題総数,(b)実施課題の種類,(d)1時間あたりの実施課題数と,中程度からやや強い相関があった(r=.29~.57)。この結果から,文字認識能力については,実施した課題がより多様であった子どもにおいて高くなる可能性が示唆された。また,CALL教材を用いて,単位時間内に集中的に,多様な課題に,数多く取り組んだ子どもにおいて英語音声の知覚能力が高くなっていたことが明らかになった。
- 一般社団法人 CIECの論文
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