毛母メラノソームの電顕的観察―毛の色による形態的差異について―
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概要
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日本人の黒色,白人の黒色,ブロンド,淡褐色,褐色,ブルネット,赤褐色,赤色を呈する成長期頭毛の毛母メラノサイト及びケラチノサイトに含有されているメラノソームの大きさ,メラニン化の状態及び形態を電顕的に観察し,頭髪の色とメラノソームとの関連について若干の知見を得た.すなわち,日本人の成長期黒色毛の毛母メラノサイト内のメラノソームは大部分第4期で,その最大径は1.2×0.5μmでありケラチノサイト内には第4期メラノソームが個々に存在しているのが認められた.白人のブロンド,褐色,淡褐色を呈する成長期頭毛の毛母メラノサイト内には第1期から第4期までのメラノソームが認められ,その最大径は0.9×0.3μmであったが,色の濃淡により第4期のメラノソームの占める割合が異なっていた.ケラチノサイト内ではメラノソームは個々に存在していた.白人の赤色を呈する成長期頭毛毛母メラノサイトには0.5×0.5μmのほぼ円形ないし多角形のメラノソームが認められ,メラニン化は不規則であった.ケラチノサイト内では個々にあるいは複合体を形成して存在していた.白人の赤褐色を呈する成長期頭毛毛母メラノサイトには最大径0.9×0.3μmの楕円形のメラノソームと少数の0.5×0.5μmの円形及び多角形のメラノソームが認められ,ケラチノサイト内ではこれらが個々にあるいは複合体を形成しているのが認められた.日本人の黒色毛ではメラノソームの最大径は白人のそれより大であった.ケラチノサイト内メラノソームは白人では完全にメラニン化していない状態のものも認められたが,日本人黒色毛ではメラニン化の完成したもののみであった.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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中川 秀己
東京大学医学部皮膚科
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堀嘉 昭
山梨医科大学皮膚科学教室
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川村 美保子
東京大学医学部附属病院分院皮膚科
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Baden H.P.
ハーバード大学医学部皮膚科学教室
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Fitzpatrick T.B.
ハーバード大学医学部皮膚科学教室
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