全身性強皮症死亡20症例の臨床的検討
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概要
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我々は過去14年間(1978年~1991年)に全身性強皮症死亡36症例を経験し,死因不明の9例と死因が本症と関係が少ないと考えられた7例を除く20例(男2例,女18例)について臨床的に検討した.病型別の死亡例数はタイプ1は0例,タイプ2が8例,タイプ3が9例,generalized morphea(GM)タイプが3例であった.罹病期間はタイプ2が19.5±4.2年あるのに対して,タイプ3は8.1±5.0年(p=0.001),GMタイプは6.3±2.5年(p=0.0008)と有意に短かった.しかし,初発症状出現年齢,死亡年齢,各強皮症特異スコア陽性頻度,強皮症特異スコア数,抗topoisomerase Ⅰ抗体および抗centromere抗体陽性率については病型間の差は認めなかった.死亡原因としては,心肺不全12例,肺癌3例,強皮症腎2例,間質性肺炎,壊死性血管炎,原発性胆汁性肝硬変各1例であった.特に,肺線維症ないし肺高血圧症による心肺不全死亡例では躯幹にも皮膚硬化を認め,発病後10年以内(平均7.3年)に死亡する急性型(タイプ3:7例,GMタイプ:1例)と四肢に硬化が限局し10年以上(平均18年)の経過を持つ慢性型(タイプ3:1例,タイプ2:3例)が見られた.またGMタイプでは3例中2例が強皮症腎(発病後4および6年)で死亡していた.タイプ2では肺癌など心肺不全以外の死亡例の多い点が注目された.今回の検討から,肺・腎病変が急速に進行する症例を予測する因子は見いだし得なかったが,従来から指摘されているように,躯幹に皮膚硬化を認める症例では急性型の存在を念頭におき,注意深い経過観察が必要であろう.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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宮地 良樹
群馬大学医学部皮膚科学教室
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田村 敦志
群馬大学医学部皮膚科学教室
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大西 一徳
群馬大学医学部皮膚科学教授
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石川 治
群馬大学医学部皮膚科学
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宮地 良樹
群馬大学医学部皮膚科
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石川 英一
群馬大学医学部皮膚科
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山蔭 明生
群馬大学医学部皮膚科学教室
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田村 多絵子
群馬大学医学部皮膚科学教室
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