Non-Hodgkins Lymphoma of Large Multilobated Cell Typeの1例
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概要
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64歳女性.約10年前より上肢に紅斑が出現し,次第に拡大した.数年後から臀部,下肢,側胸部に皮膚腫瘤が出現,その都度外科にて切除,肉腫と診断され化学療法,局所放射線療法を受けた.1990年2月腰痛及び体重減少が出現し,3月当科初診.腹部の小腫瘤の組織標本で,異型性に富んだ小円形細胞に混じって大型分葉核を持つ異型リンパ球の浸潤を認め,large multilobated cell typeの悪性リンパ腫と診断した.腫瘍細胞の表面マーカーは検索した限りでは,T細胞系,B細胞系のいずれも陰性であったが,大型細胞の一部にCD25,CD30(Ki-1)陽性所見を得た.入院後,腹腔内に径4cmの腫瘤をみとめ,便潜血陽性と強度の貧血も出現したため, VEPA-Pepleo変法の化学療法と中等量の局所放射線療法を施行し,腹腔内腫瘤は消失,皮膚にわずかに浸潤を伴う紅斑が散在するのみとなった.その後も腫瘤の再発や皮疹の増悪をみず,全身状態はきわめて良好である.皮膚原発のmultilobated lymphomaは,これまで本邦における報告例がなく極めて稀な疾患と考えられる.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
-
山村 弟一
大阪大学医学部皮膚科
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吉川 邦彦
大阪大学医学部皮膚科
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岡田 奈津子
大阪大学医学部皮膚科学教室
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滝尻 珍重
大阪大学医学部皮膚科学教室
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松岡 緑
大阪大学医学部皮膚科学教室
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吉川 邦彦
大阪大学医学部皮膚科学教室
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庄田 裕紀子
大阪大学医学部皮膚科学教室
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磯ノ上 正明
大阪大学医学部皮膚科学教室
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東山 麻里
大阪大学医学部皮膚科学教室
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