尿路通過障害を来したIgG4関連疾患の3例

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IgG4関連疾患（IgG4-related disease：IgG4RD）は，比較的新しい疾患概念であり，組織中へのIgG4陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性慢性炎症疾患である．我々は，3例の尿路通過障害を伴うIgG4RDを経験したので，文献的考察を加え報告する．症例1は59歳男性，排尿困難を主訴に受診．CT検査で両側尿管壁の肥厚と両側水腎症，前立腺の腫大を認めた．IgG4 817 mg/dlと高値であり，尿管と前立腺の病理組織学的検査の結果IgG4RDと診断し，両側尿管ステント挿入術とステロイド治療を行った．画像上著明な改善を認め，IgG4は272 mg/dlまで低下した．症例2は51歳女性，両側顎下腺腫脹の精査中に左尿管腫瘤と，左水腎症を指摘され紹介受診．IgG4 1,020 mg/dlと，尿管の病理組織学的検査の結果IgG4RDと診断し，左尿管ステント挿入術とステロイド治療を行った．画像上著明な改善を認め，IgG4は337 mg/dlまで低下した．症例3は64歳男性，自己免疫性膵炎の精査加療中に背部痛，両側水腎症で紹介受診．IgG4 649 mg/dlと高値であり，IgG4RDを考え両側尿管ステント挿入術を行い，背部痛の改善を認めた．尿路通過障害を来したIgG4RDの報告は稀であるが，本症の一病態として尿路通過障害を来し得ることを臨床上念頭におく必要があると考えられた．
一般社団法人日本泌尿器科学会の論文

尿路通過障害を来したIgG4関連疾患の3例

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