冠動脈バイパス術12年後に発見された巨大伏在静脈グラフト瘤の1例
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概要
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伏在静脈を使用した冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting; CABG) は, 1968年に初めて施行された. 伏在静脈グラフト瘤は稀な合併症で, 1975年に初めて報告され, その後, およそ130症例が報告されている. 今回, われわれはCABG 12年後に発見された巨大伏在静脈グラフト瘤を経験した.<BR>症例は75歳, 男性. 1996年, CABG(左内胸動脈—左前下行枝, 上行大動脈—大伏在静脈—#12, 上行大動脈—大伏在静脈—#3) が施行された. その後, 狭心症症状・心不全症状なく経過していたが, 12年後の胸部X線写真で, 右第2弓に接する巨大な腫瘤陰影を認めた. 半年後にさらに増大傾向を認めたため, 紹介受診となった. 胸部CTでは右房前面に77×61mm大の巨大な腫瘤を認めた. 心臓超音波検査では右房前面に巨大瘤を認め, 瘤内へ流入する血流を認めた. 右冠動脈への伏在静脈バイパス造影では, バイパスグラフトと瘤の交通が確認され, 伏在静脈バイパスグラフト瘤と診断された. 瘤は巨大で半年で増大傾向を認めたため, 破裂のリスクが高いと判断し, 瘤切除およびグラフトの結紮を施行した. 瘤は右冠動脈への吻合部付近に存在し, 瘤内には壁在血栓を認めた. 病理検査では仮性動脈瘤の形態を呈していた.
著者
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浦澤 延幸
長野赤十字病院循環器科
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臼井 達也
長野赤十字病院循環器科
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宮澤 泉
長野赤十字病院循環器科
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戸塚 信之
長野赤十字病院循環器科
-
荻原 史明
長野赤十字病院循環器科
-
笠井 俊夫
長野市民病院循環器内科
-
吉岡 二郎
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
-
吉岡 二郎
長野赤十字病院内科
-
佐藤 俊夫
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
-
加藤 秀之
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
-
河野 哲也
長野赤十字病院循環器病センター心臓血管外科
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宮澤 泉
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
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浦澤 延幸
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
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荻原 史明
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
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臼井 達也
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
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河野 哲也
長野赤十字病院循環器病センター循環器病センター心臓外科
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戸塚 信之
長野赤十字病院循環器病センター循環器内科
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