昆布による甲状腺中毒症
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概要
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日本では, 昆布ヨードの過剰摂取による甲状腺中毒症 (ITT) の報告がない。我々は, 日本人が好んで摂取する昆布の過剰摂取がITTを発症させることを見出した。<BR>献立表から算出したヨード量28-140mg/日を毎日摂取し, 1ケ月, 1年を経て甲状腺中毒症を示した42, 59歳の女性例である。<BR>両例のT<SUB>3</SUB>は高く, T<SUB>3</SUB>/T<SUB>4</SUB>比, T<SUB>4</SUB>/γ-T<SUB>3</SUB>比は低く, 無機ヨード値は正常生活者の平均2.05ug/dlの+2SDより高値であった。昆布摂取の禁止後, 1ケ月で中毒症状消失, T<SUB>4</SUB>, T<SUB>3</SUB>, γ-T<SUB>3</SUB>, T<SUB>4</SUB>/γ-T<SUB>3</SUB>比は正常化した。<BR>摂取ヨード源を明らかにするため, 昆布内及び水浸昆布の出汁中ヨード量を測定した。昆布内ヨードの99%が水浸30分, 煮沸15分で水溶液中に出る事を確かめた。<BR>以上の結果は, ITTが昆布及び昆布出汁の過剰摂取により発症すること, また, 昆布出汁として1日28mg/日以上のヨード量を毎日摂取すると, 日本人ではITTが引き起こされる可能性があることを示唆している。
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