歯周病原性細菌により刺激された好中球による口腔上皮細胞株の傷害性
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概要
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歯周炎における組織破壊は, 歯周病原性細菌の直接的病原性因子のみならず歯周病原性細菌に対する宿主の過度の炎症反応や免疫反応が関与していると考えられている。そこで本実験は歯周病原性細菌により刺激された好中球の歯肉上皮細胞 (KB細胞) に対する傷害性を検討することを目的として行った。歯周病原性細菌には<I>Porphyromonas gingivalis</I> (<I>Pg</I>), <I>Fiusobacterium nucleatum</I> (<I>Fn</I>), <I>Actinobacillus actinomycetemcomitans</I> (<I>Aa</I>) を用いた。また, 歯周病原性細菌により刺激された好中球からの活性酸素, 腫瘍壊死因子α (TNFα), プロスタグランジンE<SUB>2</SUB> (PGE<SUB>2</SUB>) 産生とエラスターゼ, 好中球ゲラチナーゼ (MMP-9) 放出について検討した。<BR>1. <I>Pg</I>, <I>Fn</I>, <I>Aa</I>実験群においてKB細胞の細胞生存率は, 25〜30%に低下したが, 菌種による著明な差はなかった。<BR>2. <I>Pg</I>, <I>Fn</I>, <I>Aa</I>実験群においてPMN単独群よりも高い量の活性酸素, エラスターゼ, MMP-9, TNFα, が検出された。活性酸素量は刺激した菌種間で差を認めたが, エラスターゼ量, TNFα量では認めなかった。<BR>3. 好中球から放出されたエラスターゼ量とMMP-9量との間に正の相関を認めた。<BR>4. 好中球からのPGE<SUB>2</SUB>産生は<I>Pg</I>群, <I>Fn</I>群に比べ, <I>Aa</I>群で有意に低下していた。<BR>以上のことより, 歯周病原性細菌により刺激された好中球による上皮細胞への傷害は, 単一要因によるものではなく様々な因子の相互作用による惹起されると考えられた。
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会の論文
- 2002-12-28
著者
-
葛城 啓彰
日本歯科大学新潟生命歯学部 微生物学講座
-
斎藤 和子
日本歯科大学 新潟歯学部 微生物
-
斉藤 和子
日本歯科大学新潟歯学部口腔微生物学教室
-
須藤 美央
日本歯科大学新潟歯学部歯周病学講座
-
斎藤 和子
日歯大新歯微生物
-
葛城 啓彰
日本歯科大学新潟歯学部微生物学講座
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