肺結核の短期化学療法に関する研究 (第1報)
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概要
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治療期間の短縮を目的として, 昭和47年以来, 初回治療の菌陽性有空洞肺結核を対象として, SM・INH・RFP併用を6ヵ月間行ない, その後INH・PAS併用を6ヵ月間続けて1年で治療を終了する短期化学療法を実施した。対照としては, SM・INH・PAS併用で18ヵ月以上治療した症例のうち, 6ヵ月以内に菌陰性化したものを選び, 両治療群の治療中および治療後30ヵ月までの経過を比較した。<BR>1) 157例のSM・INH・RFP群では, 全例が治療4ヵ月までに菌陰性化し, 105例のSM・INH・PAS群に比べてより早期に菌が陰性化した。<BR>2) 治療終了後9ヵ月以上経過を観察しえた95例のSM・INH・RFP群では, 治療後2年6ヵ月までの間に再排菌例は1例もなかったのに対して, 105例のSM・INH・PAS群では3例に再排菌が認められた。<BR>3) SM・INH・RFP群では, 治療12ヵ月で胸部X線所見基本病変が中等度以上に改善したものは80%, 空洞が中等度以上改善したものは72%であり, この時点で治療を終了したが, 治療終了後さらにX線所見の改善が基本病変で37%, 空洞で42%にみられ, 悪化は1例もなかった。この成績は, INHとRFPを含む短期療法の場合, 化学療法は必ずしもarget point到達まで行なう必要のないことを示している。以上のごとくSM・INH・RFP併用の治療成績は優れており, 現在, SM・INH・RFP6ヵ月併用後のINH・PAS併用期間を更に3ヵ月間短縮し, 治療期間を9カ月とする短期療法の研究を行なつているが, その成績は改めて報告したい。
- 日本結核病学会の論文
著者
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鈴木 孝
大阪府立羽曳野病院
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山本 和男
大阪府立羽曳野病院
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相沢 春海
大阪府立羽曳野病院
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笹岡 明一
大阪府立羽曳野病院
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山口 亘
大阪府立羽曳野病院
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笹岡 明一
大阪府立羽曳野病
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相沢 春海
大阪府立羽曳野病
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山本 和男
大阪府立羽曳野病
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