アノイリナーゼ菌検索法の研究 : 第1篇 緒言ならびに増菌法について
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概要
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緒言においてはAn菌の分類学的研究が充分に確立されていない現状を述べた。そしてAn菌検索法の目的と内容を概述すると共に,従来の方法が必ずしも能率的でなかつた点を指摘し,簡易化を目指した動機を記した。増菌培養法においては培地と培養条件を決定し,材料とその処理法についての実験を行ない,増菌法の必要性と使用区分を明らかにした。酵素学的術技は別に報告しているのでここでは概略を簡記するにとどめた。以上の内容を要約再録すると次のごとくである。(1). 検体(特に糞便の場合)が少数例の際は生食水で洗浄後,培地へ注入する。多数例の場合は洗浄せず,0.5g宛培地へ投入,三次にわたる継代培養を行なう。(2). 材料の加熱処理は従来法の80°C, 20分を踏襲したが,熱耐性の弱い種の存在を予想すると将来は60°C, 20分なる条件も考慮せねばなるまい。(3). 培地はBrewers mediumに若干の変法を行なつたものに決定した(A培地)。これは好気,嫌気培養の兼用が可能であり,増菌効果はブイヨン,肝々ブイヨンの両者に劣らないのみならず,Anテストにわれわれの提唱する簡易法の適用が可能である。なお,好気培養専用(B培地),嫌気培養専用(A-1培地)をもそれぞれ考案した。(4). 培養条件は37°C, 4日間に統一した。(5). 増菌効果の推定にはAn活性を調べることによつて行なつた。このAnテストは試料洗浄の場合は第一次増菌培養時(第二次増菌培養は予備のため),非洗浄の場合は第二次増菌培養時行ない,予備に第三次増菌を補足することにした。(6). 増菌法はAn菌検索法においては効果的であることを立証し,その必要性を強調した。但し,雑菌による汚染スタムの純化には必ずしも必要ではない。(7). われわれの増菌法は従来法に比し,術技体系において著しく簡便であり,精度においても劣らないことを立証した。
- 日本細菌学会の論文
著者
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吉井 善作
山口大学医学部微生物学教室
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吉井 善作
山口大(医)微生物学
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原田 肥育
山口大学医学部微生物学教室
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坪田 洋子
山口大学医学部微生物学教室
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三浦 伝一
山口大学医学部微生物学教室
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世良 行男
山口大学医学部微生物学教室
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二五田 公俊
山口女子短期大学
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佐々木 正人
山口大学医学部微生物学教室
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二五田 公俊
山口女子短期大学食品化学研究室
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