低年齢児のう蝕罹患に関する経年的研究
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概要
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乳幼児期の成長発育にとって大きな役割を果たす乳歯は, 乳歯列が完成する以前からう蝕に罹患していく傾向が強い。このため今まで歯科医が行なってきた個人衛生的な指導から, 社会全体に働きかける公衆衛生的な考え方でう蝕予防を推進していく必要があり, そのためには乳歯う蝕を疫学的に正しく把握することが基本的に必要であると考える。<BR>乳歯う蝕の疫学的研究は従来より数多く報告されているが, 低年齢児を対象としたものは少なく, また多くは断面的資料に基いている. そこで低年齢児を連続観察すると同時に, 歯牙年齢およびう蝕罹患型による分類法を用いることにより, 個人の追跡を1口腔単位に〓え, 臨床的に評価することを試みた。<BR>資料は神奈川県横須賀市北部保健所管内の幼児205例 (男児100例, 女児105例) であり, 1年時から3年時まで毎年う蝕罹患の追跡調査を行なった。<BR>その結果, う蝕罹患状態は増齢的に増加し, とくに2年時で急増する傾向がみられた。歯種別では歯牙年齢I型で乳中切歯にう蝕が初発し, II型を除きI型からVI型までは上顎乳中切歯のう蝕罹患率が最も高かったが, VII型では下顎第2乳臼歯の方が高率を示した。歯面別では1年時は上顎乳中切歯唇面の罹患率が最も高く, 2年時では上顎乳中切歯近心面が, 3年時では下顎第2乳臼歯咬合面の罹患率が最も高かった。また1年時および2年時う蝕発症者のうち, df歯率, df歯面率が増齢的に減少した例は少なく, 大部分は漸増していた。う蝕罹患型でみると1年時は乳前歯にう蝕が限局したb型が多く, 3年時では上顎あるいは下顎乳前歯と乳臼歯がう蝕に罹患したc型が多かった。1年時b型のものは3年時でもb型のままであった例はなく, 3年時では広範性う蝕となる傾向が強く認められた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
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