加硫ゴムの低温圧縮永久ひずみ : 加硫ゴムの低温における挙動 (第2報)
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概要
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6種類のポリマーの純ゴム配合物およびカーボンブラック配合物について, +20〜-50℃の範囲における圧縮永久ひずみを求め, 低温における粘弾性挙動を検討した.非結晶性ポリマーでは圧縮状態下における低温ばく露3時間でほぼみかけ上平衡に達し, 48hrばく露のものとほとんど永久ひずみはかわらない.圧縮永久ひずみの対数と温度との関係は勾配の異る2直線で示され, その交点はゴム状領域からレザー状領域に転移する見かけの相変化温度と見なされる.この温度におけるすべての配合物の圧縮永久ひずみは25±5%であり, 一方圧縮永久ひずみが100%になる温度は凍結温度とした.この2つの温度は配合物に特有な温度で, ゲーマンねじり試験やT-R収縮試験など容易に行なえる試験から求めることができる.室温における圧縮永久ひずみさえ測定すれば上記の関係を用いて, 圧縮永久ひずみ-温度曲線をほぼ推定することが可能である.またT-R試験におけるTR-70値は無定形ゴム配合物では各温度における圧縮永久ひずみ値とほぼ直線関係にあることがわかった.以上から実用上大切な低温圧縮永久ひずみ値を, 容易に行なえる他の試験から推定することの可能性を見出した.<BR>結晶性ゴムの加硫物における圧縮永久ひずみは回復における遅延時間の増大および結晶化による応力緩和との複合した要因により起るもので, 後者の要因によるものはばく露時間と変形度に大いに影響される.最適結晶化温度では, 圧縮永久ひずみはばく露時間とともに直線的に増加し, その勾配はみかけ上その温度における結晶成長速度を表わすものとした.勾配を知れば, 短時間の圧縮永久ひずみのみ測定することにより, 長時間の永久ひずみ値を推定可能である.結晶性ポリマーの場合上述のT-R70値と永久ひずみ値とは各温度で一定関係になく, -30℃の永久ひずみ値のみは無定形, 結晶性ポリマーを問わず, T-R70値と良好な相関関係を得た.
- 社団法人 日本ゴム協会の論文
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