微生物の生産する植物種子発芽促進物質に関する研究 : (第1報)生産菌の選択
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概要
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(1)著者等は微生物の新利用面を開拓するため植物生長健進物質を新に微生物の微量代謝産物中に求めんとし,先ず植物種子発芽促進作用の有無を代表的な黴25種,細菌10種,酵母15種,放線菌25種,計75種を用いて試験した.植物種子としては碗豆,甘藍,水稲の3種を供試し,発芽皿として9cmペトリ皿を用い,18°に暗置して発芽試験せるに,若干の微生物につき顕著な促進作用を認めた.更に現在有効物質の抽出を実施中でこれ等に関する研究は追って報告する予定である(**脚註参照). (2) 微生物の試験液については一般的に云って阻害は高濃度に限られ,促進は低濃度に多かった.但し同一試験液の濃度差による両作用の転換は必ずしも全てには適用出来なかった.又豌豆は作用の受け方が最も強く,甘藍,水稲の順で弱くなる様であった.又顕著な促進のあった試験液について実施したβ-Indol acetic acidの定性反応は何れも陰性であった. 第9表 顕著な阻害作用 第10表 顕著な促進作用 第12表 抗生物質の植物種子発芽に及ぼす影響 (3) 代表的な植物ホルモン3種及びビタミンB2鍾についても同様試験したが,植物ホルモンは何れも顕著な促進作用は見られず,却って高濃度で畸型化を伴う阻害作用が強く,特に2・4Dはその作用が著しかった.ビタミンB1は比較的高濃度で豌豆の幼茎伸長を強く促進した. (4) 代表的な抗生物質18種についても同様試験した.高濃度では8種が碗豆を顕著に阻害し,水稲では4種,甘藍では1種あり,特にcycloheximideの阻害が目立った.顕著な促進は碗豆にのみ見られ,大部分の12種が促進したが特にneomycin-B及びsarkomycinは顕著であった.尚特異現象としてchloramphenicol及びtetracycline群は高濃度で甘藍の幼葉及び幼茎先端部に赤色色素の強い発現を誘起した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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有馬 啓
東京大学農芸化学部
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酒井 平一
東京大学農学部農芸化学
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小疇 吉久
東京大学農芸化学科
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有馬 啓
東京大学農学部農芸化学科
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有馬 啓
東京大学農学部農芸学科
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酒井 平一
東京大学農学部農芸学科
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