微生物によるイソプレノイド炭化水素pristaneの代謝
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概要
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Rhodococcus sp. BPM 1613 (Bergeys Manual of Determinative Bacteriology第8版では,本菌株を含む一群がNocardia sp.に属していたが, GoodfellowとAldersonによりこれらNocardia sp.はRhodococcus sp.に再分類された(1977))は, pristaneを唯一の炭素源として生育し,培養液中に片末端酸化生産物およびさらに代謝が進行した分解産物を生成した.そのうち,先にpristanol, pristanic acid, pristyl pristanateおよびpristyl aldehydeについては報告したが,今回さらに3種の分解産物を単離・確認した.すなわち,培養液(5l)のエーテル抽出物から分解産物をシリカゲルカラムおよび分取用TLCプレートにより分離・精製し,化合物A (0.19g),化合物B (0.69g)および化合物C (0.45g)を得た.これらの分解産物の構造をIR, NMR,マススペクトル等により検討した結果,化合物Aは2, 6-dimethylnonanedioic acid,化合物Bは2, 6-dimethylheptanedioic acidおよび化合物Cは2-methylpentanedioic acidであることを確認した.これらの化合物は,本菌株によるpristaneの代謝経路上の分解産物であり, pristaneは(1) pristane→pristanic acid→β-酸化, (2) pristanic acid→pristanedioic acid(ω-酸化)→β-酸化の2つの経路で代謝されることを認めた. また,本菌株の菌学的性質について検討した結果,気菌糸を形成しないこと,可溶性色素を生成しないこと,エタノールを唯一の炭素源として生育すること,コロニーの形状等からRhodococcus sp.に属することを認めた.そして生理学的性質はRhodococcus erythropolisに類似していたが, リトマスミルクを変化させないこと,アデニンおよびL-チロシンを分解しないこと,イノシトールおよびトレハロースから酸を生成しないこと,クエン酸,ギ酸および乳酸などの有機酸類を資化しないことなどの点は異なっていた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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