リゾチーム・フラボプロテイン複合体形成について
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概要
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1) 精製した卵白リゾチームとフラボブロテインは,水溶液中で不溶性の複合体を形成した,この複合体は,NaClの添加により可溶性となった.複合体形成時の至適pHは,両タンパク質の混合時のモル濃度により若干異なったが,ほぼ7近辺であった.リゾチームとブラボプロテインの混合時のモル濃度比が1:1では,不溶性複合体は形成されないが,2:1では結合モル比が2:1の複合体が形成され,3:1,4:1あるいはこれ以上のモル濃度比の混合では,結合モル比3:1の複合体が形成された. 2)オボアルブミン,コンアルブミン,オボムコイドなどの,単離した卵白成分の共存は,リゾチーム・フラボプロテイン複合体の形成に影響をおよぼした.とくに,結合モル比2:1の複合体形成条件の場合は,試験したすべての卵白タンパク質において,結合モル比はリゾチームが増加するように変化した.このことは,両タンバク質以外の卵白成分の,この複合体形成への関与を示唆した.また,透析卵白は,単離した前記卵白成分に比べ,複合体の結合モル比の変化への影響力は少なかった.しかし,形成された複合体の沈殿の状態を変化させた. 3) アセトンおよび透析処理により,リゾチーム・フラボプロテイン複合体を卵白から直接調製することに成功した.この複合体の塩溶液中でのゲル濾過パターン,およびゲル濾過で得られた各ピークの電気泳動による分析により,両タンパク質以外にも,コンアルブミンおよびオボムシン様物質の共存が認められた.この2成分も,この複合体の形成に関与し得るものと推論した.オボムシン様物質以外の3成分,すなわちリゾチーム,フラボプロテイン,コンアルブミンの結合モル比は,16:4:1と算出された.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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