多孔質膜内に形成されたリン脂質膜のイオン選択性
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概要
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リン脂質の薄膜,およびリン脂質とオレイルアルコールからなる溶液膜を形成したミルポアフィルターの膜電位を,イオン透過担体の一種であるバリノマイシンあるいはグラミシジンDの存在下で,塩化カリウムと塩化ナトリウムの混合溶液中において測定した.そして,得られた結果より,これらの脂質膜におけるナトリウムイオンに対するカリウムイオンの選択性を検討した.用いられたリン脂質(あるいはその類似化合物)は,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルセリン(PS),ジオレイルホスフェート(DOP),ジステアリルホスファイト(DSP)である. PCあるいはDOPの脂質薄膜を含むフィルターの透過比は,イオン透過担体が存在する場合, PK/PNa=1.7〜1.9である.溶液膜の場合,透過比は,一般に薄膜の場合より高くなる.イオン透過担体の存在しない溶液膜においても,ある程度の選択性が観測される.バリノマイシンを加えると,選択性はかなり上昇するが,一方,グラミシジンDでは,あまり上昇しない.フィルターに含まれる脂質溶液量を減少させると,イオン透過担体を加えたときのフィルターの透過比は,一般に低下する.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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