リン脂質膜のイオン選択性に及ぼす種々のイオン透過担体の影響
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概要
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リン脂質の薄膜および溶液膜を,ミリポアフィルター内に形成させて,それらの膜電位を,種々の環状および擬環状のポリエーテル化合物をイオン透過担体として含む塩化カリウム-壇化ナトリウム混合溶液中において測定した.リン脂質として,ホスファチジルコリン(PC)およびジオレイルホスフェート(DOP)を用いた.得られた実験結果より,リン脂質膜のカリウムイオンの選択性に及ぼすこれらイオン透過担体の影響を検討した.脂質薄膜の透過比(PK/PNa)は,いずれの場合も2.1以下であり,そして,これは塩濃度の増加とともに低下した.一方,リン脂質とオレイルアルコールより成る溶液膜の透過比は, 1.4〜27.3である.この場合, DOP膜のイオン選択性は, PC膜のそれより高い. DOPの溶液膜の選択性は,イオン透過担体のつぎのような順列に従って増大した:ジシクロヘキシル-18-クラウン-6>ジシクロヘキシル-24-クラウン-8>ジベンゾ-18-クラウン-6>QE>ジベンゾ-24-クラウン-8>18-クラウン-6>アミノポリエーテル222B>アミノポリエーテル222.この順列は,他の脂質膜においてもほぼ同様である.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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杉浦 正昭
工業技術院化学技術研究所
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新保 外志夫
工業技術院化学技術研究所
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新保 外志夫
工業技術院東京工業試験所平塚分室
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杉浦 正昭
工業技術院東京工業試験所平塚分室
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杉浦 正昭
工業技術院 化学技術研究所
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