LH（luteinizing hormone）とhCG（human chorionic gonadotropin）による排卵誘発後の卵胞顆粒膜細胞存続の比較

概要

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【目的】hMG-hCG療法は排卵障害治療法および体外受精目的の卵巣刺激法として広く用いられている．生理的排卵はLH surgeにより惹起されるが，hMG-hCG療法ではhCGがLHの代替として用いられる．そこで排卵誘発におけるLHとhCGの違いにつき卵胞顆粒膜細胞の存続能への影響およびアポトーシスの観点から検討した．【方法】3週齢wistar系雌ラットにPMSG 10 IUを投与し，その48時間後にLH 20 IU（LH群）またはhCG 5 IU（hCG群）で排卵誘発を行った．その24時間後に断頭屠殺により採血および卵巣を採取し，血清中E2，P4値を測定した．採取した卵巣の顆粒膜細胞増殖能は抗PCNA抗体を用いた免疫染色によって，アポトーシスはTUNEL法によって調べ，それぞれ中卵胞（卵胞径120〜170μm）と大卵胞（卵胞径170〜500μm）に分けて検討した．【結果】hCG群の血清中E2値はLH群に比較して有意に高値を示したが，hCG群のP4値はLH群のそれとの間に有意差を認めなかった．中卵胞でのhCG群のPCNA陽性率はLH群に比較して有意に高く，LH群のTUNEL陽性率はhCG群に比較して有意に高値を示した．大卵胞では，hCG群のPCNA陽性率はLH群に比較して有意に高値を示したが，TUNEL陽性率はhCG群とLH群の間に有意差を認めなかった．【結論】hCGはLHに比べ排卵後も大卵胞の顆粒膜細胞を刺激して増殖能を高め，排卵直後のhCG群での血清E2高値の1因となると考えられた．中卵胞ではLHに較べhCGは顆粒膜細胞の増殖を高め，アポトーシスを抑制するため卵胞閉鎖率が低下し，次周期に影響を与える可能性が推測された．また，大卵胞，中卵胞においてhCGはLHよりも排卵後の顆粒膜細胞を多く存続させるため，多数の卵胞の存在下のhCG投与は卵巣過剰刺激症候群発症に関与する可能性がある．〔産婦の進歩54（3）：185-193，2002（平成14年5月）〕)

LH（luteinizing hormone）とhCG（human chorionic gonadotropin）による排卵誘発後の卵胞顆粒膜細胞存続の比較

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