ルーメンから分離される微生物の研究(第1報) : 橙赤色球菌とその性質(その1)
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概要
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濃厚飼料を多給している試験牛のルーメン内容物から橙赤色の球菌を多数分離して,その性質を検討して次の結果を得た. (1) 試験菌は0.7〜1.2μ,単一または短連鎖の球状または楕円形でGram陽性であった. (2) 試験球菌群は絶対嫌気性で,適温は35°Cないし40°Cにあり,60°C,30分の熱処理に耐え,2.5%の食塩には耐えるが6.5%の食塩濃度では繁殖せず,牛乳を凝固し,ゼラチンを液化せず,インドールを生成せず,カタラーゼは陰性であった. (3) グルコース,マンノース,麦芽糖,蘇糖,乳繕,セロビオース,ラフィノース,イヌリン,馬鈴薯でん粉をよく発酵し,アラビノース,サリシンではグルコースの半分の発酵能を示し,キシロース,キシラン,セルロースは発酵しなかった.とくに生でん粉の発酵性は特徴的である. (4) グルコースを基質にして右旋性乳酸のみをつくるが,その対消費糖収率はRL培地で40〜50%,PY培地でもようやく70〜80%で完全なhomo乳酸発酵(90%以上)とはいえない. (5) 試験球菌群は形態,糖類,ことにでん粉の発酵性,その他の生理的性質,および糖を発酵して右旋性乳酸をつくることからStreptococcus bovisに近縁と思われるが,菌体の着色をみること,および乳酸の回収率が低いことなどから真のStreptococcusに属せしめうるか否か問題が残る. (6) 試験球菌群はルーメン内でのでん粉質の消化に深い関係のあることが推察される. (7) 試験球菌群のRL-グルコース培地で得られる菌体が橙赤色に着色するのは培地の窒素栄養と深い関係があると推察される.
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