AICA-ribosideの醗酵生産に関する研究(第5報) : 酪酸による胞子形成抑制の作用機作について
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概要
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(1) 添加された酪酸は培養中,菌によって分解,同化されないことを明らかにした. (2) 培養が生育期,不確定胞子形成期, AICA-ribo-side生成期に三分されることを明らかにし,胞子形成を抑制するためには不確定胞子形成期に酪酸が存在すれば十分であることを明らかにした. (3) Replacement cultureにおいても酪酸は胞子形成を抑制することを明らかにし,酪酸の菌体に対する作用は菌の内因性酸素吸収を抑制することであると推察した.すなわち,酪酸は菌に対し酸化反応を抑える作用をもっていて,その抑制度は添加量によって制御できて,酪酸による抑制に感受性の強い反応が胞子形成に関係ある部分と考えられる.したがって添加量を多くすればAICA-riboside生成に関係する酸化反応も抑制されてAICA-ribosideの蓄積がなくなるのであろう. (4) 酪酸で観察された内因性酸素吸収の抑制と胞子形成抑制能との関係が他の飽和脂肪酸についても観察された.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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木下 一幹
味の素(株)中央研究所
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木下 一幹
味の素株式会社中央研究所
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酒井 迪
味の素株式会社中央研究所
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安永 昌博
味の素株式会社中央研究所
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城 照雄
味の素株式会社中央研究所
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木下 一幹
味の素株式会社
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