細胞組織学的にみたナシ果実の発育と肥料三要素との関係 (第1報) : 4か年継続の砂耕試験成績

概要

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1. 窒素, りん酸および加里肥料と二十世紀ナシ果実の発育との関係を細胞組織学的に観察した。すなわち, 1年生苗木を植付けてから連年継続して砂耕処理を行ない, 第4年次にはじめて樹体容積に応じて着果させ, それらの果実について, 果肉細胞の分裂および肥大と三要素濃度との関係を調査した。2. 果肉細胞の分裂は, 窒素およびりん酸では80ppm が, また, 加里では40〜80ppmがもつともすぐれたが, 濃度の変化に伴なう細胞分裂への影響は, 窒素がもつとも強く, ついで加里, りん酸の順であつた。3. 果肉細胞の肥大については, 無加里においてやや劣つたほかは, 三要素とも濃度の変化によつて, 細胞分裂にみられたほど大きい相違はみられなかつた。4. 収穫時における果実の発育量は, 果肉細胞の分裂および肥大にもつとも好適であつた各要素の80ppmがもつともすぐれた。5. 果肉細胞の肥大期における葉内NおよびK含量と果肉細胞の大きさとの間には, それぞれr=-0.524*およびr=+0.603*の有意な相関がみられた。
園芸学会の論文