柑橘類果実の生理および貯蔵に関する研究 (第1報) : 柑橘類果実幼果の呼吸とエチレン生成について
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概要
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収穫時期を異にした (1970年7月〜10月)温州ミカン (Citrus unshiu MARCOVITCH, cv. Ishikawa) 幼果およびナツミカン (Citrus natsudaidaiHAYATA) 幼果の収穫後の呼吸とエチレン生成の22±1°Cでの変化について調べた。1. 温州ミカン幼果では収穫後 climacteric rise 酷似の呼吸の上昇が観察された。この呼吸の上昇現象は果実が生育肥大するにつれ不明確になつた。ナツミカン幼果ではこの現象の存在は明らかでなかつた。2. 単位時間, 単位重量当りの呼吸の絶対量は温州ミカン, ナツミカン果実とも生育肥大が進むにつれ少なくなつた。3. 温州ミカン幼果のエチレン (C2H4) 生成量は収穫後ある日数ののち急増するが, その時期は果実が生育肥大するにつれ遅れ, 7月24日収穫の果実で4日目, 8月24日のもので6日目, 9月24日のもので14日目であつた。このエチレン生成の急増の時期と呼吸の上昇の時期とは必ずしも一致しなかつた。4. 7月24日収穫の温州ミカン幼果は8月または9月に収穫したものに比べて単位重量当りのエチレン生成量がはるかに多いことが観察された。5. 8月上旬に収穫した温州ミカン幼果の果皮 (flavedo, albedo) および砂じよう (pulp vesicle) の呼吸量は9月および10月上旬のものに比べて多く, 果皮で約3/2倍, 砂じようで約2倍であつた。6. 果実を縦方向に1/2, 1/4, 1/8した場合, 切断後2〜3時間のラグ•タイムののち切断表面からエチレン生成が認められ, 経時的にその生成量は加速的に増加した。この切断に伴うエチレン生成量は切断表面積にほぼ正比例することが観察された。
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