ウリ科果実の低温耐性と組織の膜透過性との関係について
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概要
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数種ウリ科果実の組織切片からのK+漏出速度をアレニウスの式で解析し, 0〜5°Cに貯蔵した場合の低温耐性との関係について論議し, 低温障害発生機構について推察した.1. キュウリ, シロウリ, マロー, セイヨウカボチャ, ペポカボチャ, ツルレイシ, トウガン, ハヤトウリを0〜5°Cの温度下に貯蔵し, 低温障害を観察した. 低温障害の発生は, 早いもので2〜3日後, 遅いものでは2〜3カ月後に発生した. 同じウリ科内でも種類により低温感受性が異なった. ツルレイシは耐性が弱く, カボチャ類は比較的強いといえる. キュウリなど Cucumis属は低温耐性が弱いようであった.低温感受性はまた熟度によっても大きく左右され, 完熟果を収穫するカボチャなどでは耐性が強いようであった. 低温障害の症状は一般にピッティングが生じ, 発展し, 腐敗菌による二次寄生によって腐敗した.2. 数種ウリ科果実組織切片を0〜30°C下で脱塩水中に入れ, K+漏出速度を測定し, アレニウスプロットをとると, いずれの果実でもアレニウスプロットに折れ曲り(break)がみられた. break の温度は種類によって多少差があり, 5〜12°Cの温度範囲にあり, 低温耐性の弱いものでは break 温度が高いようであった. この温度範囲はウリ科果実の低温臨界温度にほぼ近いものであった.3. キュウリでは低温障害発生に伴い, K+漏出速度のアレニウスプロットに break がみられなくなり, 温度の違いにかかわらずK+漏出速度は直線的になった. これは生体膜の変性によるものと考えた.以上の結果と前報(18)の結果を総合すると, ウリ科果実の低温障害発生には, 組織の膜脂質の相転換が関与する可能性が非常に強く, これが低温障害発生の重要な要因であると推察した.
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