加工用果実, そ菜類における植物生長調整剤の利用 (第1報) : トマト果実中の NO3-Nについて

概要

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トマトジュースかん詰のスズ異常溶出の原因としてのトマト果実中のNO3-N蓄積におよぼす数種の生長調整剤の影響について検討した. 開花初期のトマトの花や花房, 株全体におのおのジベレリンや数種のオーキシンを噴霧して収穫時の収量や果実中のNO3-N含量などについて3か年にわたつて検討した. 同時に加工用トマト品種のNO3-N蓄積に関する比較も行なつた.1. ジベレリン処理によつて, 収穫時のトマト果実中のNO3-N含量は減少し, 果実が小さくなり, 収量が低下し, 熟期が遅れた.2. オーキシン処理によつて, 収穫時のトマト果実中のNO3-N含量は増加し, 果実が大きくなり, 収量が増加し, 熟期が促進された. この作用はオーキシンの種類によつて異なり, TR (4-chloro-2-hydroxy methyl-phenoxy acetic acid), PCPA(p-chlorophenoxy acetic acid) が強い作用を示し, RP (4-chloro-2-folmy lphenoxy acetic aqid) は比較的弱かつた.3. ジベレリンとオーキシンを混合した花房処理では, 果実の肥大, 熟期の促進, 収量の増加においては両者の中間の作用を示したが, 果実内のNO3-N含量はオーキシンの種類によつて異なつた. GA3とPCPAの混合処理の場合に果実中のNO3-N含量が最も少なくなり, GA3 25ppmとPCPA 7.5ppmの混合の花房処理区は収量が多く, NO3-N 3ppm以下の安全な果実量の増加が得られた.4. ジベレリンやオーキシンの株処理は茎葉への影響と果実肥大への影響が相反する作用となり, 処理する濃度と回数によつて効果が著しく異なつた. また, GA3 25ppmの単用やGA3とRPとの混合処理によつて減収し, RP 50, 100ppmでは処理回数が増すにつれて, 前者は収量が減少し, 後者は増加した. なお, 高濃度のNO3-Nを含む果実量に関しては一定の傾向を示さず, RP 200ppm単用では収量と高濃度のNO3-Nを含む果実量に増加が認められたが, 処理回数を増しても大きな影響はみられなかつた.5. Chico は Heinz 1370よりも生長調整剤に敏感な反応を示した.6. 果実中のNO3-N含量は極早生の Fireball, Coldset に多く, ついでポテト葉をもつ Epoch, 小果系のChico, Kurikoma に多く, 中性, 晩生の大果系の Heinz 1409, ES-24, VF-36などに少なかつた. また, 桃色系の支柱用品種の Taiho にかなりの蓄積がみられた. 収量が多く, 比較的NO3-Nの蓄積が少ない品種は Heinz 1409であつた.

加工用果実, そ菜類における植物生長調整剤の利用 (第1報) : トマト果実中の NO3-Nについて

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