ウンシュウミカンの品質及び成分に及ぼす貯蔵条件の影響
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概要
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ウンシュウミカンの貯蔵中における果肉及び果皮の生理的変化を明らかにするために, 果肉を各種の環境ガス条件及び湿度条件のもとで貯蔵し, 貯蔵後の果実の性状, 成分, 特に有機酸組成の変化などを検討した.1. 低湿においては果実が乾燥し, かっ変するものがみられ, 炭酸ガス濃度が20%以上のCA区では炭酸ガス障害と思われる生理障害が著しく発生した. またピッティングは冷蔵区や一部のCA区にわずかにみられた.2. 貯蔵後に高炭酸ガス区においては果皮率, 果皮歩止及び浮皮率がかなり増加した. 果肉の遊離酸は高炭酸ガス等のCA区でわずかに多かったが, 全糖は一定の傾向を示さなかった. 果皮の全酸及び全糖は低湿区, 高炭酸ガス区でわずかに多かった.3. 果肉の主要な有機酸はクエン酸であり約90%を占め, リンゴ酸がこれについだ. 貯蔵後にギ酸及びα-ケトグルタール酸の区分が増加の, シュウ酸及びリンゴ酸が減少の傾向を示した. 高炭酸ガス区などの区においても有機酸のパターンに顕著な差はみられなかった. 果皮の採収直後の主要な有機酸はリンゴ酸であり約50%を占め, クエン酸, αケトグルタール酸, シュウ酸, ギ酸の順に少なかった. 貯蔵後にギ酸が増加, シュウ酸が減少の傾向を示した. また高炭酸ガス及び‘軸腐れ’区においてはリンゴ酸が激減し, クエン酸が激増し, これらの区の果皮のパターンは果肉のパターンにかなり類似した. この現象がいかなる理由によるかは更に検討する必要がある.以上の結果から, 貯蔵に不適当な条件と思われる高炭酸ガス, 低酸素, 低湿などの区では, 貯蔵障害, 浮皮などが発生する傾向がみられ, 成分変化も大きいことが明らかになった.
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