キュウリ品種とクロダネカボチャの根のりん脂質含有率とその脂肪酸組成に及ぼす根温の影響
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概要
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キュウリ2品種 (四葉と久留米落合H型) 及びクロダネカボチャの幼植物を根温12, 14, 17, 20及び25°Cで10日間培養し, 根の中性脂質, 糖脂質及びりん脂質の含有率と, りん脂質の脂肪酸組成及び脂質種組成について調べた. また, 別に12, 14, 17, 23°Cの根温で10日間培養したものについて, 根のフォスファチジルコリン(PC)とフォスファチジルエタノールアミン(PE)の脂肪酸組成を調べた.クロダネカボチャでは14°C以下の低根温において根のりん脂質含有率が増大したのに対して, キュウリ2品種ではりん脂質含有率は12°Cでのみ増大した. このりん脂質含有率の増大はクロタネカボチャの場合は根におけるりん脂質合成の高まりによるものであるのに対して, キュウリの場合は根の生長抑制によるみかけの増大であると考えられた. 一方, りん脂質の脂肪酸組成における温度反応はキュウリとクロダネカボチャで明らかに異なり, クロダネカボチャではその脂肪酸不飽和度 (飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の比率で表した) は根温の低下に伴って次第に増大したのに対して,‘久留米落合H型’においては根温による変化が小さく,‘四葉’では17°Cで最大になり, それ以下の低根温では著しく低い値に低下した. 根の主要なりん脂質種は3作物ともにPCとPEであったが, これらのりん脂質種の根温による不飽和度の変化はキュウリではPCにおいて, またクロダネカボチャではPEにおいて顕著に認められ, キュウリ根のPE及びクロダネカボチャ根のPCの脂肪酸不飽和度はほとんど変化しなかった. しかし, りん脂質種の組成に対する根温の影響は3作物ともに顕著ではなかった.以上の実験結果から, クロダネカボチャとキュウリの低根温耐性の違いに, 低根温下での根のりん脂質の合成及びその構成脂肪酸の不飽和化の程度の違いが関係していることが示唆される.
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