日本, 中国および米国•仏国ボタン品種の花弁色素組成の比較研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本, 中国および米国•仏国のボタンの花弁色素組成を調べ, 各国の品種が花色の育種の面でどのように異なっているかを比較検討した.<BR>調査したすべての日本品種 (<I>P. suffruticosa</I>) の花色はCIE座標軸上の赤と青の範囲内に入った. 紅紫色品種は赤味•青味とも高い値を示した. 桃色と白色品種は赤味•青味とも低い値となった. 暗赤色と紅紫色の品種は花弁に多量のアントシアニンを含んでいたが,桃色と白色品種は逆に少なかった. したがって花弁の明度と花弁のアントシアニン含量には高い負の相関がみられた. すべての日本の暗赤色または紅紫色品種は,6種類のアントシアニン (peonidin 3,5-diglucoside/peonidin 3-glucoside, cyanidin 3, 5-diglucoside/cyanidin 3-glucoside, pelargonidin 3,5-diglucoside/pelargonidin 3-glucoside) を含んでいた. 鮮紅色の品種はCy3G5G/Cy3Gを欠いていたが, 大量のPg3G5G/Pg3Gを含んでいた. いくつかの桃色品種はCy3G5G/Cy3GおよびPn3GとPg3Gを欠いていた.<BR>中国品種 (<I>P. suffruticosa</I> と<I>P. suffruticosa</I> var. <I>spontanea</I>) は一般に6種類のアントシアニンのうちPg3Gを欠いており, このことが鮮紅色の品種の少ないことと関連しているようであった.<BR>米国•仏国の雑種品種 (<I>P. suffruticosa</I>×<I>P. lutea</I> or <I>P. delavayi</I>) は, 6種類のアントシアニンのうちPg3GとPg3G5Gを欠いており, このことが深紅色や緋色品種の出現に関連しているようであった. また鮮黄色のchalconeが<I>P. lutea</I>や<I>P. delavayi</I> から導入され, 花弁内でpeonidin や cyanidin と混合し, オレンジ色やクリ色等, ユニークな花色を発現させる要因となっていた.
著者
-
細木 高志
島根大学農学部生物生産科学科栽培植物生産学講座
-
浜田 守彦
島根大学農学部生物生産科学科栽培植物生産学講座
-
神門 卓巳
島根大学農学部生物生産科学科栽培植物生産学講座
-
稲葉 久仁雄
島根大学農学部農学科蔬菜・花卉園芸学研究室
-
森脇 良二
島根大学農学部
関連論文
- STSおよび種々の薬剤によるボタン,シャクヤク切花の花持ち延長
- 12月促成開花に適したボタンの品種選抜
- 多変量解析によるボタン品種の形態的分類
- 島根県の特産園芸作物-2-
- 島根県の特産園芸作物-1-
- 冷蔵によるボタンの切花及び鉢物の抑制栽培
- ボタンの花芽の分化と発達
- 予備冷蔵及び薬剤処理によるボタンの12月促成開花〔英文〕
- 化学物質および低温処理によるボタンの促成開花および長期冷蔵による抑制開花
- 低浸透ポテンシャル溶液処理による水耕チェリートマトの裂果発生制御
- シャクヤクの花のアントシアニン
- エタノールおよび他のガス物質が春咲きグラジオラスの球茎の休眠打破および開花促進に及ぼす影響
- 種々の休眠打破処理がグラジオラス球茎の呼吸に及ぼす影響
- 夏咲きグラジオラスの球茎の休眠打破に及ぼす化学物質,温とうおよび除皮処理の影響
- 切花の花もちに及ぼす窒素および糖の複合効果
- 低温寡日照条件下におけるミニトマト"サンチェリー"の収量及び果樹品質について
- 水耕ミニトマトの果実品質,収量及び生育に及ぼす塩化カリウム及び硫酸カリウム添加処理の影響
- 寺岡アザミ (Cirsium japonicum DC. cv. Teraoka) のシュート縦断法による in vitro 増殖
- 宿根スイトピー(Lathyrus lactifolius L.)の茎切片培養によるin vitro増殖
- 植物生長調節物質,接ぎ木および断根処理がトマト苗の生育に及ぼす影響
- 食用カンナの茎縦断法による in vitro 増殖
- 多変量解析によるボタン品種の形態的分類
- 東洋系メロンの形態的, 生態的および生理的差異に基づく分類
- 節培養によるヤーコンの大量増殖
- シロバナストケシア(Stokesia laevis Greene var. alba hort.)の葉および根の培養によるin vitro繁殖
- 指標 (GUS) 遺伝子を有するAgrobacterium temefaciensとA. rhizogenes利用によるハナタバコおよびハボタンの形質転換
- キクの In vitro 室温貯蔵
- Agrobacterium rhizogenesを用いたブロッコリーの形質転換と植物体再生
- オミナエシ(Patrinia scabiosaefolia Fisch.ex Link.)の茎切断および側枝の分離繰り返し法によるin vitro大量増殖
- 予備冷蔵及び薬剤処理によるボタンの12月促成開花
- ホトトギス(Tricyrtis hirta Hook.)の茎切断および側枝の分離繰り返し法によるin vitro増殖
- キキョウ(Platycodon grandiflorum A.DC.)の茎切断および側枝の分離繰り返し法によるin vitro繁殖
- β-Glucuronidase指標遺伝子を有するAgrobacterium rhizogenesによるメキャベツの形質転換
- 日本, 中国および米国•仏国ボタン品種の花弁色素組成の比較研究