栄養生長期と休眠期において日長と温度の影響を受けたイチゴの葉柄の表皮細胞長と表皮胞数
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概要
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無加温のビニルハウス内で育てた一季成り性イチゴダナーを, 8月23日, 10月23日および11月23日に, 24°/22°C (昼/夜) •16時間日長のチェンバ内に移して育てた.<BR>1.8月23日に株をチェンバ内に移した場合, 葉柄長は上位葉ほど増加した. これは葉柄長当たりの表皮細胞数 (細胞数) が増加したためであった. しかし,葉柄の平均表皮細胞長 (細胞長) は上位葉ほど減少した.<BR>2.10月23日と11月23日に株をチェンバ内に移した揚合にも, 葉柄長は上位葉ほど増加したが, 8月23日に株を移した場合に比べると短かった.<BR>3.11月23日から3°C•暗黒条件下で42日間低温処理した後にチェンバ内に移した場合, 低温処理しなかった場合に比べてどの葉位でも葉柄長が増加した. この際, チェンバ内に移してから伸長する最初の3葉では,葉柄長の増加は, 主として細胞長が増加したことによるものであった. しかし, その後に伸長した葉では細胞数増加の関与もみられ, それは上位葉にいくにつれて大きくなった.<BR>4.以上の結果から, 栄養生長期から休眠期にかけてイチゴの株を高温•長日条件下で育てると, 展開する葉の葉柄の細胞長と細胞数は, 以下のように変化すると推察される.<BR>(1) 株が栄養生長期にある場合, 高温•長日条件下に移してから展開する葉の葉柄は, 上位葉ほど長くなる. この結果は葉柄の細胞数が増加することによるものである.<BR>(2) 秋には株がしだいに休眠状態になる. これと並行してクラウン内で生長中の葉柄の細胞分裂が短日•低温条件下で大きく抑制される.<BR>(3) 休眠期の株では, 葉が出葉期近くまで生長している場合, 低温処理は主として細胞長を増加させる.しかし, 葉柄が活発な細胞分裂期にある場合, 低温処理は主として細胞数を増加させる.
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