シンビジウムの花蕾における呼吸変化と「花飛び」現象との関連について
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概要
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シンビジウムの交配種サザナミハルノウミを用い,花蕾における呼吸変化と高温による「花飛び」現象との関連について調べた. 自然の低温条件 (5°~20°C)で栽培した花序を高温 (昼30°/夜25°C) に移すと,花蕾のCO<SUB>2</SUB>放出は急速に減少し, 2週間で当初の約1/3に低下するとともに, その温度係数 (Q<SUB>10</SUB>) は3近くまで上昇した. 花茎や苞葉でも同様にCO<SUB>2</SUB>放出は減少したが, 花蕾に比べてその変化は小さかった.また, Q<SUB>10</SUB>は2前後で, 対照区 (20°/15°C) と差がなかった. 対照区におけるCO<SUB>2</SUB>放出は比較的一定の高い値を示した. 自然の低温条件で栽培した花蕾の呼吸活性は, 生体重当たりでは高く維持され, 花蕾当たりでは生長とともに直線的に増加した. 呼吸商 (RQ)は1.15~1.35であった. 一方, 自然の高温 (25°C ?? ) では, 花蕾の呼吸活性は生体重当たりで低く, 花蕾当たりのそれも生長につれて増加しなかった. RQは約1.5から0.7付近へと著しく低下した. ジベレリン (GA<SUB>3</SUB>) 処理は「花飛び」を抑制するとともに, 呼吸やRQの低下を抑えた. 以上の結果から, シンビジウムの「花飛び」現象には, 花蕾における呼吸速度の減少, RQの低下, Q<SUB>10</SUB>の上昇などの呼吸変化が密接に関与していることが示された.
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