体内水分状態あるいは土壌水分状態に基づいてかん水された施設栽培トマトの生育
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概要
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温室栽培下のトマトは過繁茂を呈することが多く,過繁茂は果実肥大の遅延や, 空洞果あるいはすじ腐れ果といった生理障害果多発の原因となる. このような場合, 適度な水分ストレスは過繁茂防止に有効で, より良い果実肥大のために栄養生長と生殖生長のバランスを変えるのに役立つ. 本実験では, そのための土壌水分管理を確立するために, 温室条件下のトマトについて, 新たに開発した体内水分状態を指標とする水管理と, 従来の土壌水分状態を指標とした水管理とを比較検討した. かん水対象土層深は両試験区とも40cmとした.<BR>その結果, 体内水分状態を指標にしたかん水の方が,土壌水分吸引圧pF2.0でかん水を行ったよりも, 栄養生長を抑制した. しかし, 可販果収量ならびに果実の可溶性固形物含量は, 体内水分状態を指標にしたかん水の方がかなり高かった.<BR>これらの結果から, 温室条件下におけるトマトの促成栽培においては, 体内水分状態を指標にした土壌水分管理の方が土壌水分状態を指標にするよりも有効であることが明らかとなった. この場合, かん水対象土層深を40cmとして, かん水開始点を生育前期 (定植-第3花房開花) では-1.0MPa, 生育後期 (第3花房開花~収穫終了) では-0.5MPaとするのが良いと思われる.
著者
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