Etomidoline の消化管運動に対する作用とその特殊性
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概要
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抗コリン作働性薬物の代表として atropine 及び scopolamine は今日広く臨床で用いられる鎮痛, 鎮痙剤であるが, これら天然アルカロイドは臓器選択性に乏しいためこれまでに種々工夫がなされて来た. その主なものは三級アミン構造の四級化であり, scopolamine butylbromide として広く用いられている. しかし四級化することによつて, 腸管からの吸収率低下はこれら薬剤の経口投与上に問題を残して来た. 更に, 鎮痙剤の好ましくない点として腸管内容物の輸送遅延があり, 克服出来ない副作用として残つている. 本研究ではイソインドリン骨格をもつ三級アミンである etomidoline の作用をわれわれが独自に開発しに force transducerの慢性植込みによるイヌの消化管運動長期連続記録 system を用いて検討した. その結果, etomidoline は0.3mg/kg-30min の静脈内投与で96.3±0.05分間にわたり胃の食後の収縮運動を抑制し, pentagastrin (0,1μg/kg-hr) 刺激による胃運動も78.5±4.44分間抑制した. ところが etomidoline 6〜9mgの経口投与を行つてみると胃腸管収縮運動の収縮力は低下したにもかかわらず, はじめて空腹期収縮があらわれる迄の時間-即ちdigestive time は無処置 control 群に比し夫々0.9及び2.2時間と有意に短縮した. そのメカニズムは不詳であるが, 少くとも消化, 吸収時間を延長させないということはこれまでの鎮痛, 鎮痙剤には認められなかつた新しい作用として注目に値する.
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