ガンと高血圧の相互関係についての疫学的研究(第2報) : 都道府県別観察,とくにABO血液型との関連について
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概要
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高血圧とガンが抗抗的関係にあるというZondekの仮説を検証するために,本邦の悪性新生物および脳卒中死亡の相対的関係を考察した。研究方法として都道府県別(昭30,男)の脳卒中死亡率(y),悪性新生物死亡率(x)をy/xのかたちで観察した。統計学的方法としては関連表により,一部は順位相関係数を参考とした。その主なる所見は次に要約される。1) 一般に都道府県単位では悪性新生物死亡率と脳卒中死亡率の関連は明らかでないが,若干の府県ではあたかも両死亡率が拮抗的なるかの傾向がある。その根拠の1つとしてy/x比の分布型が正規分布とは認められないことがあげられる。2) ABO血液型と悪性新生物死亡率の地域的分布の関係は証明できず,ただ脳卒中死亡率のとくに高いところはA型が少なく,B型が多いことと関連ありそうである。しかしこの特徴をもつ地域が地理的に隣接集積の傾向が強いのでABO血液型との直接関係ありという根拠は少ない。3) y/x比の比較的小なるところはA型が比較的多いことと無関係ではないと推定される。とくにy/x比の低下をきたす原因は主としてyを低下せしめる作用がより強いことによると思われる。けれども以上の推論は対照とした血液型の代表値の信頼度に疑問があり,また昭和30年度のみの検討であるから制約をうける。また,血液型頻度分布と地理的条件をきりはなすことができないので,そのいずれが2死因の発生にひびくものか判定することが困難である。したがつてHost Factorとしての一定血液型物質をもつことがどの程度までpredispositionとなりうるか本報に関するかぎり明確な結論は無理であろう。このためには同一地域の詳しい実地検診により血液型分布を知りfollow-upをおこなうことが唯一の手段として残されると思う。
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