農村における鉤虫および回虫の予防,撲滅に関する研究 : 第1報 群馬県一農村部落における鉤虫撲滅の野外試験

元データ 日本衛生学会

概要

1952年9月より57年7月まで,群馬県吾妻群中之条町高津(23戸約180人)において,鉤虫撲滅の野外試験をおこなつた。1) 予防撲滅の実施方法としては,農民の自主的活動による組織活動を助成し,全住民検便を浮遊法1本値および塗抹法2枚値で計24回おこない,検出された陽性者には主として四塩化エチレンによる集団駆虫を実施した。また併行して肥溜設置を奨励し,かつCS2による鉤虫卵殺滅をはかつた。2) その結果1年半(8回駆虫)で当初24%の鉤虫卵陽性者(ヅビニ単独寄生)は皆無となり,その後3年間の観察ではわずかに1人の陽性者(新感染)が検出されたが,現在では当地区より鉤虫は撲滅できたと考えられる。3) 当地区の陽性者は3回の駆虫によつて95%まで陰転した。4) CS2の肥溜屎尿内投入は管理を充分おこなえば野外にて危険なしに実施でき,相当の効果が期待できると考えられる。なお裏付のためにおこなつた室内実験では,0.07%(1/1,500量)の濃度でも高温浸漬では効果があるが,低温下ではそれほど効果は期待できなかつた。5) 当地区では鉤虫感染の性差は認められず,年齢別では年少者に少く,成人に高率,また家族集積性が顕著に認められた。

著者

内田 昭夫 千葉大学医学部農山村医学研究施設
内田 昭夫 千葉大学医学部公衆衞生学教室

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