農村地域在宅高齢者の保健行動および社会的生活様式と死亡の関連

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農村地域在宅高齢者の保健行動および社会的生活様式と早期死亡の関連を検討するために,1982年に高知県大方町で65歳以上在宅高齢者の健康状態と生活様式について悉皆調査を行い,回答を得た1,545名を1987年まで追跡して1,505名の情報を得た。解析は,性別に,追跡開始時65-74歳の前期高齢者群と75歳以上の後期高齢者群に分けて行い,追跡開始時の自覚的健康状態をMantel-Haenszel法で調整した。また,各群に多重ロジステックモデルをあてはめ,追跡開始時の自覚的健康状態および他の生活様式項目の影響を考慮して,生活様式項目と5年間の死亡の関連を検討した。保健行動では,自覚的健康状態を調整すると,男の後期高齢者群の便秘と,女の後期高齢者群の健診受診不良だけが早期の死亡に関連していた。健診受診には保健行動と社会的生活様式の両側面があり,したがって,便秘を除き,保健行動の早期死亡への寄与は少なかった。社会的生活様式では,自覚的健康状態を調整すると,男女別に差があるが,前期高齢者群では友人接触,老人クラブ活動,後期高齢者群では,これらと仕事や家庭での役割および趣味活動が早期の死亡に関連することを認めた。さらに,保健行動を考慮しても,女の後期高齢者群で,仕事や家庭での役割の欠如,老人クラブ非加入および活動参加の乏しさ,そして友人接触の乏しさが早期死亡に関連しており,社会的生活の乏しさが早期の死亡に寄与することが明らかになった。これらのことから高齢者の健康において社会的生活様式が意義を持つこと,特に家庭での役割から離れる後期高齢期の女において著明であることが示唆された。
日本衛生学会の論文

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