直線および回転角加速度の視運動性眼振に及ぼす影響
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概要
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目的: 視運動性眼振と前庭系の関連は平衡生理上重要な課題である. 著者は三半規管ならびに耳石器官への加速度刺激が視運動性眼振に対して如何なる影響を及ぼすかを検討する目的で実験を行った.<BR>実験方法: 被験者20名2組を対象とした. 直線加速度刺激はparallel swingおよび, 左または右側方へ被験者を加速移動させることによって行った. 回転角加速度刺激は振子様回転および, 左または右回転によって行ない, 眼振発来のない所謂閾値以下刺激とした. 視運動性刺激は小型回転円筒を作成し, 被験者が坐る椅子に装着して, 被験者に対して常に一定の回転速度になるようにした. 視運動性刺激は皮質型と皮質下型に分けた. 皮質型については, 被験者静止時と加速度刺激時の視運動性眼振値を推計学的に比較した. 眼振の記録には電気眼振記録計 (時定数0.03, 2.0秒) を用いた.<BR>実験結果: (1) 皮質型視運動性眼振は, parallel swingまたは振子様回転がなされる時, 眼振数, 総振巾, 緩徐相速度において増加し, 特に最大緩徐相速度の上昇が著るしい. 皮質視運動領域の関与のため, 加速度刺激による迷路からの負の影響には打克つことが出来る. (2) 皮質下型視運性性眼振は, その緩徐相方向と加速度によって惹起される代償性眼球偏位の方向とが同一方向の時に促進され, 反対方向の時に抑制される. 従って, 皮質下型は前庭系の強い影響を受け, 強い関連性のあることが考えられる. (3) 視運動性と前庭性の刺激が同時になされる際の眼振の発現態度から, 眼筋自己受客器の関与も推測される. (4) 三半規管と耳石器管は共に視運動性眼振に対して同様の作用を有し, 直線加速度および閾値以下回転角加速度による代償性眼球偏位運動は共に, 眼振緩徐相に相当し, 眼振準備状態にあると考えられる.
著者
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