注入用SiliconeによるVocal Rehabilitation
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概要
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I) 研究目的<BR>いわゆるBrünings techniqueは片側反回神経麻痺に対するVocal Rehabilitation, phonosurgeryとして発展してきた. 1911年Brüningsがバラフィンを用いたのが最初であるが, これはその異物反応のためバラフィノーマを作ることが多く, 一時この方法は途絶えてしまった.<BR>しかるに最近ArnoldやRubinがTeflonやSiliconeを用いるようになって, 再び登場することになった.<BR>この研究は, 現在最も組織反応のすくないとされているSiliconeを, 従来一般的適応とされていた片側反回神経麻痺の他に,<BR>(1) いわゆる声帯萎縮<BR>(2) 蛋白同化及び男女混合ホルモンによる音声障害<BR>(3) 外傷性声帯側方固定<BR>(4) 片側声帯切除後<BR>にも拡大応用し, 良好な結果をえたので, その音声学的成績と共に組織学的な検討を報告したものである.<BR>II) 臨床成績<BR>片側反回神経麻痺においては, 呼気の利用率が2.7倍になると共にソナグラム上に於て雑音成分が著明に減少する. いわゆる声帯萎縮, 外傷性声帯側方固定, 声帯切除後では, 呼気の利用率は各々, 1.9, 2.7, 3.0となるが, その雑音の減少は著明ではなく, 自覚的変化も「発声の容易」に集中する.<BR>一方蛋白同化及び男女混合ホルモンによる音声障害では, もともと呼気の乱費はないからこの点の変化はみとめられないが, その声域, 及び話声位に於て著しい改善がみられた.<BR>III) 組織反応, 及びSiliconeの所在<BR>剖検例等において, Siliconeは甲状披裂筋の外側にあり, これは手術的正中位固定と同じ状態であることが確認できた. またその組織学的検討によりほとんど異物反応が認められないことが理解された.<BR>IV) 結論<BR>以上の, 成績及び組織反応の結果からSiliconeによるBrünings techniqueは, 声門閉鎖機能の改善の面で意義のある片側反回神経麻痺, いわゆる声帯萎縮, 外傷性声帯側方固定, 片側声帯切除後において極めて有効であるばかりでなく, 蛋白同化及び男女混合ホルモンによる音声障害にも, 効果のあることが確認された.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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