側頭骨縦骨折の臨床的研究
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概要
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昭和42年度中の当院外来を訪れた頭部外傷74例中レ線上縦骨折の認められた11例と非骨折耳63例とについて自覚症状, 諸種検査を比較検討した. 骨折例は全て側頭部受傷でおこり, 全例が耳出血, 難聴を訴えていたが, 聴力障害は純伝音障害は少く, 混合, 感音難聴もみられた. 聴力損失は中等度以下の難聴, 自記オージオメトリーで振巾縮少, TTDを示すものがみられ, 2/3に前庭機能異常を示した. これに対し非骨折の中でも, 頻度は低いが, 耳出血, 顔面神経麻痺, 伝音障害を示すものがみられ, 縦骨折の存在を疑わせる症例がみられた. われわれの4例の症例で手術的に骨折の存在を確認し, その修復により聴力改善をみた. 第4例目ではレ線上縦骨折の確認ができなかつたが, 手術で耳小骨連鎖異常をみつけたことは, 縦骨折の診断に際してレ線所見のみに依存することが適当でないことを示唆している.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
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二井 一成
岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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中村 英樹
岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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本間 利美
岩手医科大学耳鼻咽喉科学教室
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本間 利美
岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
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二井 一成
岩手医科大学耳鼻咽喉科学教室
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